水曜日が定休日の「山富貴」だが、何時ものように店内に入り、店員さんの「いらっしゃいませ!」の声に誘われ二人掛けテーブルに座った。
すると店員さんが先ず(読売)新聞を持って来てくれ、やがて手拭きタオルとそば茶のウエルカムセットが運ばれるのだが、今日は、
『会長が、「今日はスダチ蕎麦でどうでしょうか(?)と言ってますが・・・如何でしょうか?』
「はい! お願いします!・・・」
で、新聞が読み終わる頃、盆が運ばれて来た。
大きな黒い丼一杯の冷たいめんつゆに更科蕎麦が入っていて、つゆに輪切りのスダチが並んでいたが、先ずは木製レンゲでつゆを3,4回口にする。
次に蕎麦を啜ってつゆをいただき、少し間を置いてからはスダチを蕎麦で刳るんで食べる。
スダチを好まない人用に小皿が在ったが、種までスライスしたスダチそのままを頂くのがスダチの旨さ。 スダチ蕎麦はスダチの酸味、旨さを際立たせるツユが決めてなのだ。
食べ終えてレジに行くと、若女将が居た。
「先日は、珍しい果物を頂き有難うございました。 皆さんで美味しく頂きました・・・」
『いえいえ・・・僅かでしたので、皆様に食べて戴けたかどうか・・・あれは「三宝柑」と言って、江戸の時代から紀州和歌山の名産品で、紀州藩外への持ち出し禁止とされていたそうで、その頃から数百年変わらぬ美味しさの柑橘なんですよ。 ここ「山冨貴」も若女将で2代目、自分の代になると何か新たなことをやろうかと思うのは良いんですが、次の世代にキチンとバトンタッチすることが重要なんですよ。 数十年、数百年美味しさ、旨さを維持すること-は大変なことです。 モノもそうですが、ヒト、即ち(次世代の)子の育て方、教育は中々難しいものですよ・・・』
と言うと、
『私たちには子供が3人居るのですが、長男は「公務員になりたい」と言っているし、次も料理、調理に興味が無い様で、包丁を持たないんですが、中2の末の子が前向きで、その子に継がせようかと思っているんです』とのこと。
『それは良いですね・・・子供は親の背中を見て育つ・・・と言われますが、子から質問が有ったとき「色々選択肢は在るが、自分たちならこうする-と明確に言った方が良いですよ。 曖昧なのが好く無いので、質問した子は正解を期待していませんし、踏ん切りをつけるために聞くものですよ」
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