蕎麦屋「いちい」

 半年振りに、鴻巣の親戚に行った。  自動車保険更新の案内だったが、ベーグルの美味しい店が在る-と聞いていたので一度寄って見たかったのだ。

「KUTA-KUTA」と言う店で11:15㏂頃に店頭に到着したのだが、ベーグルは売り切れていた。

若い店主は申し訳なさそうに対応してくれたが、「スコーンとマフィンなら在りますが・・・」

見た目のスコーンが地元の店とは違っていたので、残っていたスコーン2個とマフィン6個を買い返ろうとしたが、昔通った蕎麦屋への懐かしさが出て、自然に蕎麦屋に向かった。

信号を曲がりチョット進むと蕎麦屋「いちい」が在るのだが、信号を曲がった時点で店の前に立っている店主赤羽氏に吸い寄せられるように車を進めた。

「久し振り・・・です」

助手席の窓ガラスを開けて声を掛けると、一瞬キョトンとしていたが直ぐに僕に気付いた。

「あらっ! 久し振りです!」

「店、もうやっています?」

「ええ!」

 「いちい」は、食べ手の僕を育ててくれた店で、ほぼ毎日通っていたのだったが、「いちい」の紹介で知会った蕎麦仲間の不誠実が原因で、通うのを止めて5年以上も経つ。

階段を上り店内に入ったが、5年前とテーブルやテーブルの配置は変わっていなかったし、店主の動きや女将さんの声も顔も変わっていなかった。

「どうぞ」と案内してくれた席も、5年前と同じ8人用の囲炉裏テーブルで、メニュー表も変わりなかったが、「新たなメニューを出したんですよ」とのことで新たなメニューを注文した。

店内に、新メニューの札が在った。

「極(ごく)」との表示が在ったが、玄蕎麦は昔から益子町の鈴木さん家の蕎麦なのだが店主が選別した玄蕎麦の十割だと言う。

確かに風味が在り食べ易かったし、笊も新たな手の込んだ笊だった。

天ぷらも、京筍が終わり北海道産アスパラにした。

蕎麦湯を飲みながら、アスパラを頬ばった。

 「以前来ていた人たちは、最近見えないんだ。  古沢君も三月に一度位かなあ・・・」

と別れ際の店主の声。




毛呂古酒's Ownd : 閑話休題

世間的には後期高齢者と言われるが、今暫く閻魔様にはお茶でも飲んでいただけるよう頑張ってみようかな?

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