BS1スペシャル番組「父を探して~日系オランダ人 終わらない戦争~」の再放送を見た。
太平洋戦争時、オランダ領だったインドネシアに侵略した日本軍は、「植民地の開放」としてインドネシア人に歓迎されたが当然のように軍政を敷き、捕虜となったオランダ兵は過酷な労役を強いられた。 そうした中、インドネシアで事業を経営していたオランダ人夫婦は、軍に招集された夫に代わり妻が経営者として携わっていたが、「植民地解放」と共に従業員が反旗を翻した。
軍政下の日本兵は、オランダ女性を慰安婦扱いにしたケースが散在したのだが、番組の主人公姉妹の母親は、軍政下の日本兵の警官だった森 正氏の「貴女を守る」の言葉を信じ、従業員の嫌がらせからも逃れることが出来た。
敗戦でインドネシアから去る森氏との間に生まれた子供が主人公の姉妹なのだが、帰国したオランダで待っていたものは「敵国の子」。 特に姉は、「顔が父親似」故に祖母からも罵られ、子供心に「父親を殴ってやりたい」信念で一杯だったが、妹と我が娘の勧めで日本行きを決めた。
日本で会った唯一の父親の妹の歓待に、父親へのイメージが変化した姉妹はインドネシアでの母親の生き様を知り、戦争と言う大きなうねりの中で起きた「人間の在り方」「恨みに拠る感情と誤解」に揺れた人生ドキュメント。
インドネシアを350年統治したオランダは、インドネシア人との混血児と華僑を官吏として任官し、インドネシア人の政治参加を否定して愚民政策を取り、イスラム教徒だったインドネシア人をキリスト教徒にした。
そうした中での日本の侵略。 迎い入れたインドネシア女性との間に生まれた子は、3年半の間に数千人。 オランダからの独立戦争の指導者スカルノは、日本の統治下で息を吹き返した。
戦争を主導した人物は戦争大罪人として責任を問われるが、軍制下に於いても生まれた「人の尊厳」「人としての在り方」は、神聖なものなのだろう。
3日後の選挙、言葉を踊らす政治家たち。 聞こえの良い言葉を並べることは当たり前、デマを言う前に、主張する意見を検証し公約して欲しい。
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