あれは夕方だった。
「524人が乗った日航機が相模湾上空で自制不能となり、群馬県と長野県境の山に衝突した」
と言うニュースが、画面に表示された。
群馬県多野郡上野村楢原中ノ沢は連れ合いのふるさとだ。 だから、あの日も家族で墓参りに行っていたのだが、事故の遭った翌日は、中ノ沢で酒・タバコ、食料品などを販売する唯一の(堀川)五郎さんちに在った「食べられるもの」がすっかり売り切れ、「たべられるもの」は何も無かった。
従兄弟の(堀川)タカシ君やミツノリ君達は、当日の夜から総出で現場への自衛隊員を誘導した-と自慢話。
それから毎年の墓参りは、上野村までの道路が渋滞とは言えないまでも混んでいた。
しばらくして、道中の道路が改修されるようになり、途中のトンネルの上に「慰霊の園」が出来て塔が立ち、役場の裏の神流川(かんながわ)では灯篭流しが始まった。
ところで、田圃を散策すると、もう赤とんぼが飛んでいるのだ。
「赤とんぼ」と言うと、一般的には秋空に飛ぶ「アキアカネ」を言うが、今でも赤とんぼは飛んでいるのだ。 正確に言うと、「ナツアカネ」なのだ。
「ナツアカネ」のオスは真っ赤なので、「アキアカネ」と混同し易いが異種なのだ。
赤色は、先祖を弔うのに似合う。
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