今日土曜日午後のTBSラジオ番組「久米宏ラジオなんですけど」の特別企画“一つの道を究めた人たち”に木版画職人のデービット・ブルさんと言うイギリス生まれのカナダ人が出演した。
カナダでフルート奏者として活動していたとき、愛好家が浮世絵の照明を天井(上)から当てていたため、浮世絵が単なる摺り絵で無く「画紙に凹凸が在る」ことに感銘を受け、版画職人になったと言う。
絵画は画紙に絵の具を塗る-のだが、木版画も版木に絵具を塗り画紙に写す。
ところが、浮世絵は一旦馬簾(ばれん)で空塗りをするのだそうだ。 空塗りで、和紙に凹凸を付けると立体感が強調されのだが、この手法は日本独特の技術だそうだ。
江戸後期から明治に掛けて浮世絵の版元、絵師、彫師、摺師の制作システムは発展し、一大産業となったのだが、現代では画紙として最適の越前和紙の製造でさえ難しい時代らしい。
理由は、和紙の原料の楮(こうぞ)や三俣の生産に重要な土壌が無くなったこと-だそうだ。
「伝統や文化を守る」意識は在ろうとも、それを維持するには相応の人手が必要であり、その維持管理に要する人件費等の費用は、携わる個人の努力では賄い切れなくなっている。
我が国の伝統的文化が、日本人には維持が出来なくなったのだろうか?
世界的文化だから-と力んでみても、仕方の無いことなのだろうか?
デービット・ブルさんは言う、「それが、浮世です。」
0コメント