玄関を入ると店員が会釈もそこそこにいつもの席へ迎えいれ、厨房に向かい
「○○さんがお見えになりました!」
新聞を読み始めると若社長が顔を出し、文庫本をテーブルに置いた。
「一昨日、この方が来られて、本を置いて行ったんですよ!」
本を取り上げると、題名が「湯島春近の蕎麦イノベーション」と「コロナ明け、蕎麦屋新時代」。 それぞれには、「手打ちを超えるマシン打ち、もちもち十割蕎麦」「70歳で湯島春近を始めた」の添え文が在り、著者は荒井 久氏。
蕎麦に関する大概の著者は知っているつもりだったが、「荒井 久」と言う名は見たことも聞いたことも無い。
蕎麦を食べ終わり、新聞もサッと見終えて著者のプロフィールを見た。
「荒井久/1945年長野県生まれ。東京電機大学電子工学科を卒業後大手出版社を経て、小さな出版社を設立。16年(株)春近を設立し、湯島におざんざ(信州うどん)の店「湯島春近」を開業」とあり、「手打ちを超える・・・」には、「何れ、ニユーヨークで十割蕎麦の店を開く・・・」と在った。
すると、ナガタニさんが来て「コーヒーを飲んで行きますか?」
「有難うございます・・・これから、珈琲屋に行きますので・・・」
今日の昼飯は、「田舎蕎麦+カブのふろふき」だったが、荒井氏の「機械打ち十割蕎麦」は面白い。
「手打ち」で育てられた僕にとって、荒井氏が「機械打ち十割蕎麦は水分が36%なので、蕎麦粉が多い蕎麦麺になる。 打ち粉も使わないので、完全な十割蕎麦だ」
等と言うが、手打ち蕎麦は蕎麦粉の一つひとつの粒子に水が馴染むように、蕎麦粉100に対して凡そ50%程度水を使うので粒子の繋がりが強く、いわゆる「コシの在る」(手打ち)蕎麦になるのだ。 その上、水と蕎麦が馴染むことで、蕎麦の香りが強く出るのだ。
機械打ちでは、この「蕎麦の旨さ」が出せないのではないか・・・
まあ一度、湯島に行かなくちゃ・・・
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