町議の親族が経営する会社が町の公共事業を請け負ったため、施行されている「議会議員倫理条例に違反した疑いが在る」として、条例に従い審査会を設置した-との記事が地方版に載った。
当町の議会議員倫理条例は、その目的として
「町政が町民の厳粛な信託によるものであることに基づき、その受託者である町議会議員が町民全体の代表者として誠実且つ公正に職務を遂行し、人格と倫理の向上に努めると共にその権限又は地位による影響力を不正に行使して、自己または特定の者の利益を図ることの無いよう必要な事項を定めることにより、議員の政治倫理の確立を図り、もって公正で民主的な町政の発展に寄与すること」とし、議会議員の在り方を表明したのだが、その第5条で、
「議員が役員をし、若しくは実質的に経営に携わっている企業又は議員の配偶者、若しくは2親等以内の親族が経営している企業は、・・・町民に疑惑を持たれないよう、町等との請負契約等を辞退するよう努めなければならない。」と、議員の2親等以内の企業にも条例の目的を達成すべく努力要請しているのだが、町が発注した指名競争入札工事に町議の兄が経営する企業が落札し工事を受注したため、「条例に反する」とし、住民が審査会を要求したのだ。
しかし、憲法94条で、「地方公共団体は、・・・法律の範囲内で条例を制定できる」として、法律を超えた条例の制定は認められないのだ。
だから、例え議員の2親等以内の親族で在ろうと配偶者であろうとも、企業の正当な商行為を中止させたり辞退させることは刑法に抵触する(業務妨害罪)ので、あくまでも「協力要請」しかないし、敢えて言えば、住民や企業に対して当該条例の目的を達成するために協力を求めるべきでは無いのだ。 議員自身の、選んでくれた住民へのアピールなのだ。
「町等との請負契約を辞退しなければいけない-とか、辞退するよう何かと努力しなければならない」などと、条文を誤解してはいけない。 単に、議員の努力の存在が問われはしても、正常な商取引は推進しなければならない。
今回の問題のポイントは、行政が条例等を承知しながら、なぜ議員の2親等以内の企業に工事を発注したのか(?)行政側の意図は何なのか(?)である。
0コメント