狭山市に智光山公園と言う公園が在る。 今は盛りに花ショウブが咲き誇っているが、その公園の入り口近くに「去来庵」と言う喫茶店が在り、時々昼飯を食べに行く。
店主は元教師で、趣味の焼き物を展示するギャラリーを兼ねた喫茶店なのだが、料理好きで他人との会話を楽しみたいとの思いで開業したとのことで、昼はコーヒーか紅茶セットで550円なのだ。
そしてメーンは大抵栗ご飯だが、それに5~6品の手造りの漬け物が出る。
今日は「わらびの煮物」「ウドの酢の物」「高野豆腐の煮物」「小松菜などの青菜」それに「藤の花の酢の物」だった。 特に、「藤の花の酢の物」は初めて口にしたのだが、レシピを聞くと、
「近くに藤が在り、まだ咲いていなかったので蕾を取ってきて、今日は湯がいて甘酢漬けにしたの・・・。 でも、花が咲くとそのまま甘酢漬けにすると、藤の匂いがして良いのよ」
食事をしながら「山吹」について会話した。
「ヤマブキは一重と八重が在りますが、その他に白山吹が在るんですね。」と僕が言うと、
「そう、シロヤマブキですね。 あれは、実がなるのですね。」とのこと。
流石この店主、元教師で山野草なども好きだそうで、趣味で野草や果物のジャム作りもやっているのだ。
帰宅すると注文した「シロヤマブキ」と「八重山吹」が届いていた。
早速、蕎麦屋「山富貴」に持って行くと喜んで受けてくれた。
「シロヤマブキは実がなるんですね」と言うと、店員が
「〇〇さん、ヤマブキは実がならないと思っている人がいるけど、一重のヤマブキは実がなるんですよ。」
そう言えば、鷹狩り中に雨に遇った太田道灌にヤマブキを差し出した古歌は、
「七重八重 花は咲けどもやまぶきの 実の(蓑)一つだに 無きぞ悲しき」
だった。 越生の地で差し出された山吹は、八重山吹だったのだ。
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